電撃PlayStationのおまけマンガ

mixiの参加コミュニティで「おまけ4コマまんがでTRPGが扱われている。これは一読する価値がある」という触れ込みがあったので、なんとなく電撃PlayStationの2/23号を購入。ゲーム雑誌を購入するのは久しぶりだなー。

今回局所的に話題となっているのが「ゲーム犬 ポリタンとお姉さん?」(岩瀬さとみ)という作品。4コマまんがなので15ページに29本が載ってるわけですが、これが全編TRPG論というなかなかに楽しい内容。せっかくですから、じっくり腰を据えて読み進めて、あれこれ書いてみたいと思います。

まとめ1

絵は別冊付録の中でもかなり安定していて見やすいのですけど、どうにもこうにも台詞が長く読みにくいのが難点。さらに「アドバイスを受けた初心者がセッションに臨んで色々と体験した」という前提があるようなのですけど。その具体的な説明がかなり欠落していていたり。なんというか万事が説明不足という非常に困った持ち味なのです。でも、そういった艱難辛苦を乗り越えた所に、作者のTRPG論が待っているのですよね。

おはなしは前半後半の二つに大別できます。前半が「犬」と「ポリタン」によるTRPGに興味を持つ若者と熟練者の対話、後半は「犬」と「女性」による、TRPGに強い興味を持たない人との対話です。

「結果報告」

「アドバイスを受けた初心者がセッションに臨んで色々と体験した」ことを説明する一本。ヒトコマ目の囲い文で「結果はハチャメチャなことに…」とあり、さらに犬の台詞で「散々だったよ」とあることから、なんだか残念な結果に落ち着いたという話が提示されます。

これにフタコマ目でポリタンが「そんな事だろうと思った」と結果が予想通りであることを告げ、さらに「シナリオなんて一切無視だったろ?」と初心者が散々とだと感じた原因について推察を加えます。

犬はサンコマ目とヨンコマ目で、自分が何時間もかけて準備したシナリオが尊重されなかったことを思い出し、涙ながらそのことを認めます。

一本目にして泣き出しそうになる犬。いきなり大ピンチなわけですが、これは次の見開きに繋げるための掴みだからでしょう。なかなか考えられた演出です。

補記01

TRPGGMをはじめてやってまず痛感するのが「プレイヤたちが思う通りに動いてくれない」という点でしょう。これ自体は良くも悪くもないことです(次話参照)。人間がもつ意外性は楽しさの源泉として優れたものですが、ほかの遊びに比べるとTRPGはそれが率直に現れすぎるという性質がある…そういう話ですね。

補記02

時間をかけて準備したシナリオがプレイヤの行動指針にそぐわずフイになってしまうのは悲しいことです。そういう意味では犬が涙ぐむのも分からなくはありません。しかし、この時点でシナリオを準備するという楽しみはすでに味わっているということを見落とすべきではありません(マンガでは次話に繋げる必要から無視せざるを得ませんが)。

結果のみで判断せず、過程もきちんと見ることが重要です。

「で?」

さて二本目。まずヒトコマ目とフタコマ目で「結果報告」にて語られたセッションを犬がどう捉えたか、です。ここで犬は「」というポジティブな回答を示し、サンコマ目でポリタンがそのことをして犬がGM向きだと評します。

プレイヤたちの関与でストーリーが予想だにしない方向へ展開する、というのはTRPGではよくある光景です。これは他人というランダム要素が入る以上は避けられないことですし、むしろGMにはそのランダム性によって生まれるダイナミズムを積極的に楽しむ姿勢が求められます。

補記03

ここは「自分の準備したシナリオのストーリーを意地でも守ろうとする/プレイヤが関与してもしなくても揺るがないストーリーのシナリオを作る」タイプのGM(吟遊詩人)を想像すると理解しやすいかと思います。