首ナイフ問題と行動申請スタイル

TRPGでよく取りざたされる問題として「首ナイフ問題」というものがあります。これは概ね以下のような形をとります。

  1. GM「敵は人質の首をダガーで切り裂いたよ」
  2. PL「人質のHPは○で、ダガーのダメージは×だからまだまだ余裕で生きてるでしょ」
  3. GM「首にくらったから死ぬよ」
  4. PL「じゃあ、敵の首を狙います。首なら一撃で殺せますよね?」

言うまでもないわけですが、どっちもどっちです。GMも拙いしPLも問題。この問題を考えるに当たっての提案としてすぐ浮かぶのは以下のようなもの。

GM側に対する提案。

  1. プレイヤが人質を助けたい意を示したら、やり甲斐のある挑戦を設定してはどうか
  2. 確実に殺したいのであれば、PLが見落としていた要因(致死毒が用いられていた等)にしてはどうか
  3. 適切な理由が見つけられないのであれば、人質の死亡を諦めてはどうか

PL側への提案。

  1. 「私はこういう理由でまだ余地があると考えている」ということを早めにGMに伝えてはどうか
  2. 首を狙うことで即死をゲーム運用上で確定させることが自分(PC)の首を絞めてしまう危険性を検討してはどうか

これらの提案を検討すれば、回避されるかと思っております。逆に言うと「首ナイフ問題」は、これだけ回避する可能性がありながら、そのどれもが潜りぬけたレアケースであって、一般的にはそうそう遭遇しないものなんじゃないかと。

で、当方では「行動申請スタイル」をとってもらって、PL側を起点にして起きる無用な衝突を避けるようにしています。

これは、プレイヤに「首筋にダガーを刺しました」といった完了形による宣言ではなく、「ダガーを首に突き立てようとします」といった、"目的を明確にした挑戦"という形で発言するよう、要請するスタイルです*1

このスタイルを採択するにはいくつかの理由があります*2が、そのひとつはプレイヤに完了形で話をされると、否定をせねばならず荒れやすいという点。

「首筋にダガーを刺しました」と言われるとGMとしては「いえ、できません。その結果はまだ確定していません」と相手の発言を取り消す形をとらざるを得ません。が、人間は自分の口にしたことを否定されると不満を感じるものなので、それはあまり上手くない。だから、そういう展開にならないように、確定的な宣言はしないように要請するのです*3

*1:GM側はプレイヤが希望を出せば、不利ではあっても状況を変更しうる結果をもたらす挑戦の機会は与えるスタイルをとってます

*2:いちいち説明すると長いので今回はパス

*3:もちろんプレイヤの発言を際限なく取り込むというマスタリングスタイルも存在していて、一通りは使えますが、好みではないのです