TRPG.NET補完機構の成果報告について

5/14の日記にてご紹介しました「TRPG.NET補完機構」について、わかる範囲でどのような成果を挙げているか簡単に(そして勝手に)まとめてみたいと思います。尚、「TRPG.NET補完機構」とはTRPG.NETの後継を目指し活動している有志による集まりです(以下補完機構と略記/ http://www.cokage.ne.jp/next/ )。

【1】TRPG.NETドメインの継承 (5/15〜)

5/15頃にTRPG.NETドメインの契約者名義を変更。これによりTRPG.NET (http://www.trpg.net/)への接続ができなくなるという危機は回避されました。TRPG.NETに関連するアフィリエイトについても「GoogleAdSense」「Amazon」については名義変更が行われたので、これらの広告から得られた収入は補完機構の活動に役立てられます。

【2】 暫定サーバの公開 (6/11〜)

4/24より停止していたsfさん自宅サーバ群について、補完機構メンバがによって暫定サーバへの移行・再設定が6/11に完了しました。公開された範囲は以下の通りです。

【3】 IRCサーバの環境構築

オンラインセッションに広く使われている「irc.trpg.net」について、TRPG.NETドメインの継承に伴い補完機構が管理しています。また、サーバについては、補完機構により設定の更新がされたことから、IRCは2サーバ(trpg.net・cokage)がリレーする環境も成立しました。

これにより、安定・高速・多人数利用が可能なコミュニケーションの場所──あるいはオンラインセッションの場──が戻ってきました。

【4】 補足

(1) mahoroba の解約

TRPG.NETのメインコンテンツのひとつだった「掲示板群」で利用していたISPのmahorobaとは7/31に解約することが決まっています。LOG等は保全される予定です。コンベンション関係者等は注意しましょう。

(2) 楽天・j-booksのアフィリエイト広告について

広告が表示されていますが継承されない・解約することが決まっています。アフィリエイト収入も入らないようなので、ご注意ください。

(3) アキトと補完機構の関係について

ボクは「中の人」ではないので、混同しないようにお願いします。ボクのスタンスは「TRPGのオンライン・コミュニティがもう少し堅固になるまではTRPG.NETが存在していることが望ましく、そのために補完機構を応援する」といったところです。

# 遊べる環境をまた入手したときに、募集する場所があることは切実なので!

実際に、目に見える成果を上げていただいているので、できる範囲で応援したいと思っています。

TRPG.NETとTRPG.NET補完機構について

すでにご存知の方も多いかもしれませんが、TRPG.NETの代表であるsfさんが先日、急逝しました。心よりお悔やみ申し上げます。

TRPG.NETはネットワーク上でTRPGを遊ぶ人たちのハブ・ステーションとして、ボクたちTRPGユーザたちに過去から今日まで多大な貢献を果たしてきたサイト/サービスです。

 TRPG.NET http://www.trpg.net/
 
かつては「TRPG関連の大規模掲示板」「日刊メールマガジン」「メーリングリスト」の提供元であり、後に「TRPG関連書籍情報」の提供、現在では「オンラインセッションやTRPG談義を行うのに適したIRCサーバ」や「TRPG関連のサイト・ブログをピックアップするアンテナ」「TRPGをはじめとした多岐にわたるWikiの提供」等も加わってきていました。

交流する場であり、ここで知り合った人たちは数え知れないほどいるでしょう。ここで多くのサークルやコンベンションがメンバーや参加者募集の告知を行い、またセッション予定のすり合わせ等を行いました。実に多くの人たちがここを活用し、中には現在プロとして活躍している人なんてのもいたりします。

Googleをはじめとする各種検索エンジンで「TRPG」と入れれば上位に表示されます。TRPGについてよく知らないヒトたちの入り口としても機能していました。

人が集まれば交わされる会話があります。TRPG.NETではTRPGに関する悩み事相談を受けて皆で色々と話をしたり、議論を交わしたりもしてきました。TRPG.NETではログを切り出しては随時公開しているコンテンツが多くあるため、その蓄積量は莫大なものになっています。

TRPGをオンラインで遊ぼうとするとき、IRCのサーバー情報で「irc.trpg.net」と書かれたものを見た方も多いと思います。セッションに便利なダイスボットが完備されていて、セッションの合間にTRPG談義をできるメンバーが別チャンネルに多数いる……TRPG.NETのことを知らなくても、実は使っていたなんて事例も少なくないでしょう。
 
他にも数多くの良質なコンテンツや便利なサービスが提供されていました。Wikiが提供されるようになってからは、ユーザサイドからのコンテンツ追加もはじまって情報量は大変なものとなっています。

かように、TRPG.NETはTRPGを遊んでいく上で、多大な貢献をしたサイトだと思います。そして、驚くべきことにこれを支えていたのが代表であるsfさんなのでした。そんな彼が亡くなり、TRPG.NETはサービスを閉じることになる。このため、TRPG.NETという、ある意味で幹がなくなり、これまで維持されてきたネットのつながりがズタズタになってしまうことが危惧されました。

これに対して、TRPG.NETの存続を願い、有志が立ち上げたのが「TRPG.NET補完機構」です。メインスタッフはTRPG.NETのIRCネットワークと連携していたcokageサーバの管理者、りこりす氏。

 TRPG.NET補完機構 http://www.cokage.ne.jp/next/

現在は、sfさんの残したデータを回収し、TRPG.NETのサーバを継続利用できるようにすること、そしてダウンしている各種サービスの復旧に向けて動き出しています。

ボクはこの活動を見守り、またできるところで手伝っていこうと思います。この文書をご覧になった方たちも、どうか理解と関心、そして可能ならば応援をお願いします。

ネットにおけるTRPG個人史について(3)

[trpg]ネットにおけるTRPG個人史について(2)の続きです。

ネットTRPG個人史

ボク(アキト/akito)がネットに足を踏み入れたのは10代後半の頃でした。実家住まいの小僧は貯金を吐き出してノートPCを購入し、実家の電話線を引っこ抜いてダイアルアップ接続をしたものでした。ネットをはじめたきっかけは、卒業した先輩たちがメールとかインターネットでの情報交換をしているというのを耳にしていて、自分もそこに混ぜてもらいたかったからだったと思います。

TRPG.NETとの遭遇

当時はGoogleはなく、検索エンジンといえばロボット型の goo と登録型の yahoo が登場しはじめたぐらいだったと思います。ボクはプロバイダ登録が終わって、インターネットにアクセスするや、検索エンジンに「TRPG」と打ち込むと、胸を高鳴らせながらエンターボタンを押しました*1。いくつもの検索結果が出る中で、一番上に来たのがTRPG.NETでした。

そして工房・匠の掲示板他の新着情報に辿りつきます。そこにはTRPGに関する各種掲示板が数多くあり、多くの人たちが集い、そしてTRPGの話をしているわけです(ログも山ほどありました)。そこで生まれて初めてハンドルネームというものを考え、"ボク"は今でもそれを使い続けています。

極論実験

TRPG.NETはちょうど「極論実験」というイベントが収束に向かっている時期でした。極論実験はいくつかの制約の下でTRPGについて特定のスタンスに分かれて、対立的な視座からより深く対話しようという取り組みでした。コーディネイトするのは河嶋さん。

馬場講座
実名と仮名、匿名

*1:今思うと恥ずかしくなるぐらい単純だったようです

ネットにおけるTRPG個人史について(2)

[trpg]ネットにおけるTRPG個人史についての続きです。[trpg]ネットにおけるTRPG個人史について(3)に続きます。

ネットにおけるTRPGについて(2):コミュニティ

Nifty Serve(フォーラム:FRPG)

ニフティサーブ@Niftyがかつて提供していた大手パソコン通信網(有料)で、1987年から2006年まで運営されていました。フォーラムと呼ばれるジャンルごとのコミュニティがあり、企画者であり運営を任されたマネージャー(シスオペ)が全般を仕切るというスタイルをとっていました。

TRPGに関するフォーラムは"FRPG"という名称ではじまり、TRPGデザイナの朱鷺田氏(VICON)がシスオペを務めていたようです。後にいくつかのフォーラムに分割され、ネットにおけるTRPGの草創期を担いました。

草の根ネットワーク

パソコン通信

TRPG.NET・Creators Network・語り部

*1

卓上ゲーム

卓上ゲーム板(通称"卓ゲ板")はスレッドフロート型の掲示板である「2ちゃんねる」における、ボードゲーム・カードゲーム・TRPG等の非電源ゲームを取り扱う掲示板です(当初TCGも対象となっていましたが2005年分離)。1999年に設立され、「各システムごとのスレッド」や「雑談系スレッド」等で賑わっています。
2ちゃんねる」というマルチジャンルの掲示板群を背景としていることから、2ちゃんねるに特有の方言を持ちます。この"方言"という入りにくさはあるものの、気軽に書き込みができる環境で各スレッドはTRPG掲示板としてはかなり早い話題の進行速度を実現しています。この進行の速さやライブ感から、掲示板という側面の他に「ログ公開制のWebチャット」という側面を持っているのが特徴です。
また、2ちゃんねるは匿名掲示板と称していた時期があるため*2、ハンドルを意識的に入力しない場合は発言者名が「デフォルト名無し」名になります。卓ゲ板でのデフォルト名無し名は「NPCさん」なので閲覧の際には注意が必要です。

ネットにおけるTRPGについて(3):TRPG.NETの役割

掲示板群
IRC(irc.trpg.net)と公開ログ

ネットにおけるTRPGについて(4):卓上ゲーム板の役割

コテハンと名無し

卓上ゲーム板は2ちゃんねるの一部であるため、基本は名無し(デフォルト名)での書き込みとなります。これに対して明示的なハンドルを使用するコテハン(固定ハンドル)と呼ばれる人たちも一定数います。尚、他人のハンドルを借用する人や、コテハンでの書き込みと名無しでの書き込みを使い分ける人、複数の固定ハンドルを用いる人等もいます(デフォルト名無しとは別の共用されているコテハンもあるようです)。

この記名者についての曖昧さは、さまざまな特性を卓ゲ板にもたらすと考えられます。乱暴にまとめると以下の二通りがありそうです。

  • 自分の発言を他者の発言と混同することから、無責任な発言を行う
  • 他者の発言を自分の発言と混同することから、自分たちの意見が多数派と思う
裏面としての意識

卓ゲ板は当初「TRPG.NET」の裏側という位置づけでの利用が一部ユーザの間でありました。ルールや指針が明示されていたTRPG.NETに比べ、混沌としていた卓ゲ板にそういった一面を見ていたのでしょう*3

システム別スレ
地域別サークル・コンベンションスレ

日本各地のサークル・コンベンションについてのスレでは、イベントの予定や覆面レポートといった内容が日々語り合われています。個人情報の記載や特定個人に対する行き過ぎた批判等で問題になることもありますが、それだけ実際の環境に密着した部分ということができるでしょう。

虚実織り交ぜた情報が錯綜しているため、「嘘を嘘と見抜けないと難しい」というのを地で行く部分ではあります。本来であれば情報ソースの特定が推奨されるところなのですが、何しろローカルな情報なのでソース提供は本人特定に結びつきやすいという事情から、スレ住人たちもソース提供の要求をすることに熱心ではありません。

カルテッドスレ
スタンダードスレ

通称"ダードスレ"と呼ばれる、TRPGのスタンダードを決める為に永遠に仲良く戯れるスレです。当初は「自分の推すシステムを褒めちぎる」「相手の推すシステムを貶める」という喧々諤々なスレでしたが、偽悪的なネタスレであり本気で喧嘩しないといったルール整備が進み、近年は個別ルールに縛られない横断的な話ができるスレとして活用されている。

困ったちゃんスレ
オモロスレ

「オモロスレ」は卓ゲ板の外部に存在するサイトについてあれこれ話題にするスレッド(スレ)として、2001年頃スタートしました*4。「オモロ」の定義はスレにおいて以下のように表されています。

「オモロ」とは所謂「イタイ」だけじゃなくて「ユニーク(他には無い)」というもの。

この一文によりオモロスレではスレ立ての度に、ここが否定的な観察(批評・中傷)に終始する場所ではなく、肯定的なニュアンスで素晴らしいコンテンツを取り上げる場所でもあることが宣言されています。が、実態としては批判的な捉え方をされる傾向にあります。これは自分が良いと思ったコンテンツを紹介した際に、それを否定されることを嫌ったり、紹介した先に迷惑がかかることを危ぶんで、肯定的な意見が出にくい環境になっているためでしょう*5

特に「オモロ」としてスレの冒頭で取り上げられた個人については*6、あら探し・揚げ足取りともとれるような意見が書かれることも多く、スレで書かれていることを気にして発言を控えてしまうケースも少なくありません。スレでは観察対象に対して関与することを「突撃行為」と称して、行わないように自粛を求めていますが、対象の反応を引き出したいという誘惑に負けて触れる人も少なからずいます。また、ブログの機能によりアクセス元等が特別な技術のない人でも把握できるようになった現在ではアクセス数等から露見することもあるため、静かに観察することは難しくなっているということもあります。

尚、2ちゃんねるにおいて特定のサイトについての観察を意見交換する板として「ネットウォッチ板」が別個にあることから、オモロスレを卓上ゲーム板で設置するのは不適当という意見は根強くあります*7が、今日まで続いています。

オモロスレについて、どういったスタンスを取るかは難しい部分ですので、別の機会にまとめ直してみることにしたいと思います。

愚痴スレ

*1:TRPG.NETについてはTRPG.NETとTRPG.NET補完機構としてダイアリにまとめました。

*2:数度の訴訟の末に匿名性は減じられ、現在は他の掲示板と同様の"擬似的な匿名"となっています。しかしTV等で過去に匿名掲示板として報じられた印象が強いため、強い匿名性があるという認識が根強く残っているようです

*3:古参のコテハンが実はTRPG.NETで別HNの常連だったりすることもあるかもです。というか、ボクは一時期、あちらでの"七福神"コテハンの中の人だったりします;苦笑

*4:板内の話題については同時期に「ウォッチングスレ」が作られましたが現在は断絶しています。

*5:批判的な意見が多くなるから、ますます批判的な意見を出しやすい対象が選ばれるという悪循環

*6:ボクもオモロ扱いされた経験があった気がします

*7:前述のウォッチングスレは固定ハンドルの観察を行う「最悪板」に機能の一部が移されています

ネットにおけるTRPG個人史について

1990年代から2010年代におけるネットにおけるTRPGに関して、簡単な文書を書こうと思います。本エントリはおそらく時間がかかると思いますので、随時加筆修正していくという形をとります。コメントいただいた指摘等がありましたら取り込ませていただくかと思います。尚、体裁がある程度まとまった段階で別のところに手直ししてアップするかもしれません。

長くなったので、[trpg]ネットにおけるTRPG個人史について(2)に続けます。

ネットにおけるTRPGを取り巻く諸環境について

1990年代から2010年代にかけての諸環境について簡単にまとめます。各項目は年表風に再整理をするかもしれません。

経済

1986年頃からの「バブル景気」が1991年まで続き、バブル崩壊後低迷しましたが、2002年から2007年は「いざなみ景気」と呼ばれる低調ながら継続的な好景気が続きました。2007年頃からサブプライムローン、2008年9月のリーマンショックにより経済環境は厳しくなっていきました。

PC環境

1995年11月にWindows95日本語版が発売され、1998年7月にWindows98、2000年WinodwsMeと版を重ねた後に別系統であったNTシリーズと2001年1月にWinodwsXPとして合流し、日本において一般家庭にまでPCが普及していく原動力となりました。
インターネットブラウザは有償ソフトだったNetscape Navigator(現在のMozillaの源流)が、1997年3月に発表された『伽藍とバザール』以降に方針転換が図られ、1998年頃にはオープン化されました。これに呼応してInternet Explorerも無償化され、誰もが簡単に利用できる環境になっていきます。

ネット環境

1995年頃にターミナルアダプタが低価格化すると時を同じくして、テレホーダイという深夜時間帯での定額制接続サービスが開始。ISDN接続が普及する。やがて2001年頃にYahoo!BB等が参入しADSLが普及し、常時接続が一般化します。

個人情報端末

1985年の通信自由化。1993年頃にポケベル利用者が急拡大したが、1995年からの携帯電話・PHSの拡大により縮小。高校生は携帯電話が持っているというのが20世紀末には一般化しました。音声通話とメール機能、カメラ機能が中心でしたが、何度かのブームを経て、2010年代にはスマートフォンという名称で様々な機能が利用できる機器が普及しはじめています。

紙媒体におけるTRPGについて

出版物
雑誌
雑誌名 出版社 刊行ペース 発行期間
ドラゴンマガジン 富士見書房 月刊 1988.3〜
ゲーマーズフィールド ゲームフィールド
Role&Roll 新紀元社 隔月→月刊 2003.6〜
GAME JAPAN ホビージャパン 月刊 2006.6〜
ゲームぎゃざ ホビージャパン 月刊 1998.8〜2006.5
RPGマガジン ホビージャパン 月刊 1990.5〜1998.7
タクテクス ホビージャパン 月刊
電撃アドベンチャーズ メディアワークス 月刊 1994.1〜1998.6
LOGOUT アスペクト 隔月→月刊 1992.6〜1995.12
コンプRPG 角川書店 隔月→月刊 1991.11〜1996.10
RPGドラゴン 富士見書房 季刊
RPGamer 国際通信社
ウォーロック 社会思想社
シミュレイター 翔企画
TCG(M:tG)

1994年頃からゲーム紹介記事がRPGマガジンに掲載され、1995年にマジック:ザ・ギャザリング(M:tG)の日本語版がHJ社から販売されるようになりました。M:tGは革新的かつ刺激的なゲームだったこともあり、当然ながらゲームが好きなTRPGゲーマたちの心を力強く掴みました。

やがてM:tG以外にも多くのTCGが国内・国外から発表され、TRPGユーザに大小さまざまな影響を与えました。中でも象徴的なのは「RPGマガジン」誌が1999年8月に「ゲームぎゃざ」誌へとリニューアルされたことです。

TRPGウォーシミュレーションゲームの中から派生的に遊ばれだし、そしてそのまま根付いたという歴史を持っていることから、「今度はTCGTRPGから派生的に遊ばれ出し、そしてそのままTRPGが廃れるのではないか」と危惧した人たちが少なからずいたと思います。

"冬の時代"

1990年代の中頃から2000年代にかけてTRPGが低迷する時期がありました。TRPG関連雑誌が休刊したりTRPG関連記事が次々と縮小され、TRPG関連の出版アイテム数が減少していった時代という側面と、実際に遊んでいるゲーマの中で「TRPGという文化」に愛着を持つ層が強い閉塞感を感じて悲観的なムードに囚われていた時代という側面があるように思われます。

この閉塞感はゲーム・フィールド社の活躍*1や『アルシャード』の出版(2002年7月)、D&D第三版の日本語訳発売(2002年12月)といった明るいニュースを受けて徐々に払拭されていきました。

ネットにおけるTRPGについて(1):ツール

メーリングリスト(ML)

メール投稿を受付、登録されているアドレスに配信する仕組み。メールというインターネット以前からある媒体を使用することから利用環境を問わないメリットがあります。スパムメールが増加してメールそのものの利用環境が変わったこと、携帯電話からは利用が難しいこと、リッチテキストなメールに対応できないこと、Spamメールの増加からノイズが増えてメールそのものの利用比重が低下したことから2010年代ではあまり使われなくなっています。

メールマガジン

登録されているアドレスに配信する仕組み。メーリングリストが利用者間の双方向な伝達なのに対して、メールマガジンは配信者から購読者に対する一方向の伝達となります。双方向性がないことから、頻度や内容が配信者のコンテンツ供給力に依存する仕組みであるため、メールマガジンの多くは徐々に配信されなくなる傾向にあります。TRPGに関するメールマガジンもこの傾向にもれず、多くが廃刊していきました。

掲示板(BBS)

パソコン通信で使われ始めた不特定多数が書き込みを行える場所(掲示板)が提供され、文字ベースで意見を交わすコミュニティツール。部分的にHTMLタグの入力補助がある、類似する話題の複数掲示板をグループ化して配置する、書き込みがされたものを周知する機能をつける、元発言に対する返信をツリー状に表現する等、様々な工夫を組み合わせた多種多様なタイプが存在しています。

TRPGに関しては、セッションを掲示板上で行ったり、遊び仲間同士で連絡を取り合うのに使ったり、TRPGを遊ぶ中で疑問に思ったり悩んだことを相談・議論するといった各種コミュニケーションに利用されています。基本的に公開されているサービスであることから、検索サイトの精度向上に伴って

Webチャット

掲示板と同様に不特定多数が書き込みを行える場所であり、定期的な画面読込みとログイン機能が付与されたリアルタイム性の強いコミュニケーションツールです。掲示板が手紙のような文書のやりとりとすれば、それよりも遥かに砕けた気軽なおしゃべり(雑談/chat)の場所として機能していました。

ブロードバンドが普及した2000年代以降は、文字だけでなく音声や画像を媒体とするもの(ボイスチャットライブチャット)も登場しています。また、2010年代にはクラウドを取り入れたクラウド型チャットサービスが新しいサービスとして提供され始めています*2

IRC

IRCとはInternet Relay Chatの略で、専用ソフトを用いたチャットシステムです。Webチャットに比べて高速・安定であり、回線速度が速くない場合でも使うことができます。また、チャットの記録(ログ)を保存する機能が専用ソフト*3にはほぼ必ず搭載されています。
IRCにはボットと呼ばれるプログラムを置くこともでき、サイコロ等のTRPGに便利な機能を補助させることができます。このため、セッション用のボットを置いたサーバではボットをチャンネルに呼ぶことで、オンラインセッションをより手軽に楽しむことが可能となります。

メッセンジャ(ICQ、MSメッセンジャ等)
Blog(はてなダイアリ等)
アンテナ・RSSリーダー
SNS(mixi等)
twitter

2010年代になって急激に普及した米国発のコミュニケーション用サービスです。140文字以内の発言(呟き)が各ユーザごとに保持され、基本的に公開されることからブログの一種(ミニブログ)として使われる。SNS的な側面も持ち、友人知人等の関心のある人を設定することで彼ら/彼女らの発言を手軽に辿る機能などを有しています。各国の著名人をはじめ、各種企業がサービスやイベント単位でアカウントを保持しているため、マーケティング等にも利用されています。

*1:初期のGF誌に漂う雰囲気は非常に切迫した印象を受けていましたが、徐々にそういう印象が減っていきました

*2:参考:ChatWork

*3:LimeChat